2013/02/04

序文

自伝を書いたらどうだい?間違いなくこの世で一番簡単なことだろ?だって結局のところ基本的にやることと言えば、君の人生に散りばめられた比較的大事な事柄のいくつかを言葉にするだけなんだから。しかし実際にこうした“比較的大事な事柄”を書き出し始めてみてやっと、この世で自分をかたち作るのに何が本当に重要であったかが分かるのである。

我が身に起こった大きな変化に大きく関与しているものは、一番思いもよらない要素であることを、しばしば誰もが知ることになるのだ。私は当初わが人生において重要だろうと考えていたことが、次々と間違っていたことに気づいた。驚くべきことに、本当に重要なことだと判明するのは、関係なさそうな事柄ばかりなのだ。この本が完成した際に自分で読み返してみて、私自身がどうやってなぜ今の私自身になったのかを発見した時は、実際目を見張るほどの衝撃であった。

本当に面白い話は日常の生活の中にあるとは良く言われる言葉だが、私自身に関して言えば、それはまったくその通りである。しかしながら、私は本当に悲しみを体験したとも思わないし、驚くほどの失敗を犯したとも思わないのだ。

現実には、ひどくとっぴな事件や思いもよらない人々や奇妙な場所などが、私の人生を形作る上で関係しているのだ。例えば、ネースデン(訳者注:Neasden。ロンドン北西部の街)にある知的障害者のための社交クラブが、このような本の中で言及される価値を持っていたなんて、いったい誰が想像できただろう?

私の人生は極めてエピソードに満ちているというのが真実である。関連したエピソードを繋ぐこと。簡単に言えばそうすることで私の人生になる。真のきっかけとなったキリスト教のお陰で、私は今私の人生を意味あるものにするチャンスを得た。本書を執筆するのは、この終り無きプロセスのための一つの重要なステップなのである。